【ドラマの紹介】『クイーンズ・ギャンビット』がすごい

前回、マンガ『連ちゃんパパ』について、そこに隠されたテーマが「孤児」であることをご紹介しましたが、今回もまた同じテーマの作品をご紹介します。

Netflixで『クイーンズ・ギャンビット』というドラマが10月に配信され、4週間で6200万視聴という新記録を樹立して大ヒットしています。
私も評判に乗っかって公開の翌週に見始めて一気にハマってしまいました。

Netflix「クイーンズ・ギャンビット」が記録破りの大ヒット中 | TechCrunch Japan
https://jp.techcrunch.com/2020/11/25/2020-11-23-queens-gambit-viewership/

交通事故で母親を失い養護施設に入れられた9歳の少女ハーモンが用務員の手ほどきで教わったチェスに目覚め、その才能を開花させていく、というあらすじはかなり地味ですが、実際に見ると1話目からいきなり引っ張られていきます。

時代は冷戦期(1950~60年代)、冒頭は大人になった主人公のハーモンがチェスの勝負に臨むシーンから始まりますが、すぐに交通事故のシーンに変わり、少女時代のハーモンは早速に養護施設に入れられます。普通の9歳の少女であれば母の死を受け入れ施設の生活に慣れるまでにはかなりな葛藤を要するはずですが、ハーモンは大きな感情の起伏もなく淡々と目の前の現実をただ通り過ぎようとします。その理由がこの物語の大きなテーマともなります。
この施設でハーモンが出会うのは黒人の同級生ジョリーンとチェスを教えてくれる用務員シャイベル、そして毎日子どもたちに配られていた薬物(おそらく向精神薬のなにか)です。50~60年代はこういう薬が普通に市販されていたため子どもを大人しくさせるために飲ませていたようです。しかし依存性が問題となり途中で規制されて施設でも処方は中止されますが時すでに遅し、さてそこからハーモンは…という感じで物語は展開していきます。

そういえば、『3月のライオン』も交通事故で家族を失う話でしたね。もちろん主人公の桐山零は薬にも酒にも溺れませんが、何か喪失感を抱えたまま盤上に向かっていきます。原作としては『クイーンズ・ギャンビット』の方が先ですが、題材とテーマの親和性が高いのかもしれませんね。
実はこの「孤児」をテーマにしたNetflixのドラマをもう一つご紹介したいのですが、それはまた次回。

『クイーンズ・ギャンビット』は7話完結です。中身は少々ヘビーですが一気に見れてしまいますので、これからの冬籠りにいかがでしょうか。

クイーンズ・ギャンビット| Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/80234304