【本のご紹介】『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』

今回は最近読んだおススメの本をご紹介します。
尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会)会長は皆さんご存じでしょう。昨年コロナ流行が始まった際に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長として様々な会見で目にされたかと思います。
その専門家会議は昨年2月14日に設置され、7月3日に廃止となりましたが、この会議で専門家がどのように議論を行い、政治・行政とどのような駆け引きをしながら感染予防に奮闘したかをドキュメントしたのが今回ご紹介する『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織・岩波書店)です。
政府のコロナ対策、そして専門家会議に対しては皆さん様々なご意見があると思いますので、その評価をここで述べることは勿論しませんが、以前別のブログでご紹介した民間事故調と本書を併せて読んでいただくと多く考える材料はなるかと思います。
民間事故調は行政側のヒアリングが多いですが、本書は主に専門家の証言で構成されており、各人の人間的葛藤が描かれていて非常に読み応えがあります。
本書の著者は、武藤香織教授(東大)に別件で教えを乞うている際に偶然こういう事態となり、専門家会議に参加した武藤教授を軸に取材を進めたそうで、この武藤教授と尾身副座長が次の分科会に移行する際の人間同士のやり取りがちょっとアツいのですが、それは読んでみて味わって欲しいと思います。
コロナがいつ落ち着くのか、このブログを書いている今現在さっぱり分かりませんが、この時代を生きた中で感じたことの一つの答え合わせとしてこうした検証ドキュメントを読むことは無駄ではないと感じさせてくれる一冊です。