ブログを書かせていただきます

先日掲載されたこんな記事が少し話題になりました。

氾濫する「させていただきます」表現、言語学者が解説する“ここまで使われる理由”
https://bunshun.jp/articles/-/44660

「させていただきます」が普及し始めた頃、私もかなり違和感を感じて、なるべく使わないようにしていた時期が少しだけありましたが、気にするのが面倒になり、早々に諦めた記憶があります。
使う際の人間心理については記事のとおりかと思いますが、私が抵抗を諦めた理由は「楽だから」に尽きます。はい、そこはもう典型的な日本人の発想で、みんな使ってるし、ちょっと変な言葉遣いだけど、まいっか、です。「最近の風潮に流された変な日本語」と思われることと「敬意を失した表現」と誤解されるのとどっちを取るかと言えば、前者を取らせていただくに決まっています。

こうした過剰敬語傾向にある言葉で最近すっかり侵食されてしまったものに「承知(いた)しました」というのがあります。以前は普通に「了解(いた)しました」と表現していたものが、ここ5年くらいでしょうか、いつの間にか「承知しました」に取って代わられてしまいました。
などとというと、「お前は常識を知らんのか、目上の方には『承知』と使うものだ」とお叱りを受けそうですね。この「承知」という言葉、元の意味をたどれば、身分社会の中で命令を引き受ける(承る)ような使われ方をしていた言葉で、やや転じて相手の要求を聞き入れる、という意味、さらには単に「知っている」の意味で使われています。最も古い、元の意味として考えれば「了解」の敬意を上げた使われ方は間違ってはいないのですが、正しい日本語的なお説教をされると何か釈然としないものが残ってしまいます。

いかにもビジネスマナー講師が広めた感のあるこの表現、最初は「承りました」(与えらた役目を引き受ける)的な意味合いの際だけ使おうかと考えていましたが、「させていただきます」同様、途中ですぐ面倒になり、比較的早い時期にほぼ「承知いたしました」に私は宗旨変えしてしまいました。ええ、別にこだわりなんてありません。だって楽なんだもの。

時代によって言葉は変化するといいます。今その過程を見ていると思えばまあそれはそれなのかもしれませんね。
さて、次はどんな言葉が変化し、定着していくのでしょうか。「承知させていただきます」とか?