エニイのブログ

四谷住居表示板ぶらり旅~その1(住所雑学シリーズ7)

2018年12月3日 データマネジメント

こんにちは、K又です。ちょっとサボっておりましたが、住所ヲタ担当を外された訳ではありません。久々にまた住所ウンチクにお付き合いください。

これは先日四ツ谷駅前に設置・掲示されている地図板を撮影してきたものです。よく見るとシールが被せてありますね。何が修正されたのでしょうか。ちょっと拡大してみましょう。

一つ目の答えは赤で囲んだ地名の変更で、元は「本塩町」「三栄町」だった地名に「四谷」の冠をつけたものによります。しかし、その程度の変更なら地名の部分だけにシールを被せればいいのに、なぜ町まるごとに被せてしまっているのでしょうか。それが二つ目の答えで、住居表示化による変更に対応するためなのです。

四谷本塩町の住居表示【平成29年9月19日】
https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/chiiki01_001106.html
四谷三栄町の住居表示【平成30年8月13日】
https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/chiiki01_001106_00001.html

「住居表示」とは何ぞやというということについては次回以降ゆっくりご説明しますが、まずは登記上の地番とは別に分かりやすくナンバリングし直した住居番号、とご理解ください。今はスマホやカーナビに住所を入力すると簡単に目的地に行けますが、そうした機器に頼らずとも、街中にある住居表示板を見ながら番号を追っていくと目的地にたどり着けるようになっています。住宅密集地において番号を整理するために行われることが多いため、市街地であることのバロメーターになる印象を持っている方もいらっしゃるでしょう。

広めの町(大字)を住居表示化する際に丁目分けなどで再編成し直す場合がよくありますが、本塩町も三栄町もそれほど広くはないので、本来なら住居番号をナンバリングし直すだけで済む話です。ところが、住居表示化に合わせて「四谷」の冠をつけてみたのが今回の変更の特徴です。
最近、都内で冠名をつけて地名変更する例がちょくちょくあります。今年の1月に千代田区の三崎町と猿楽町が住民の熱望で「神田三崎町」「神田猿楽町」に変更しました。これはかつての地名の復活、ということではあるのですが、同地が神田区から千代田区に再編された際(1947年)に「神田」の冠がつけられ、それが住居表示化の際(1969年)に外され、それを再び復活させよう、ということで歴史的と言うにはちょっと微妙な経緯ではあります。

では本塩町と三栄町はどうかというと、「四谷」の冠をつけるには実は少々縁遠いのです。本塩町は元々合成地名でそのうちの元の地名の一つに「四谷塩町」というのがあった程度の縁で、三栄町にいたっては名称的には特に四谷とは関係なく、四谷界隈という以外に理由はありません。
ただ、この「四谷」冠のムーブメントにはきっかけがあって、3年前(2015年)に坂町が「四谷坂町」に変わったことに端を発しています。この坂町がまさに住居表示化される際にかつて江戸時代に使われていた地名を復活させよう、ということで「四谷坂町」になったという経緯があります。本塩町と三栄町は旧坂町にも四谷1~2丁目にも隣接しており、その流れで「四谷」の冠をつけることになったのです。

言葉の説明だけでは分かりにくいので、今回の四谷三栄町の変更で新しくなった住居表示案内板(筆者撮影)を見てみましょう。

これを見ると、「四谷」の冠をつけたくなるのも分からなくはないですね。
ところでこれら3町の各区画についている番号が○で囲まれていますね。①②③…といった具合に。対して四谷1丁目、四谷2丁目の各区画には斜体の数字が刻まれています。これが住居表示化されたかそうでないかの違いで、実は四ツ谷駅前から甲州街道沿いにある四谷1~3丁目は住居表示化されていない地域なのです。たとえば四谷1丁目の番号を見ていくと、「1」から何となく連番で続いているようですが、明確な規則性があるようでもなく、突如「50」という数字が現れたりしています。対して今回取り上げた3町の○つき数字には欠番は無く連番ごとの隣の数字同士の区画は必ず隣合っていますね。ここが住居表示化された地域とそうでない地域の大きな違いです。


上の写真(筆者撮影)は四谷三栄町のとある建物の看板です。看板の住所は前の地名と地番(新宿区三栄町2X番地)のままですが、右下にある青い札は新宿区が取り付けた住居表示板で、新しい地名と番号(四谷三栄町1X-1X)が示されています。過渡期にはこのような混在が散見できますが、これもその1例です。住居表示化されるということは偶然を除けば元の地番とは違う番号が振られることになるのですが、この違いについては次回以降でご説明します。今回はここまで。

【参考】四谷坂町については以下のような記事を併せてご覧になるとより理解が深まるでしょう。

104年ぶりに旧地名を復活させた、新宿区四谷坂町を歩いた – コラム – Jタウンネット 東京都
https://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/210214.html?p=all