エニイのブログ

【本のご紹介】『地下アイドルの法律相談』

2020年7月20日 データマネジメント

こんにちは、今回は最近読んだ興味深い本をご紹介します。
毎度住所のウンチクを述べておりますが、そうした業務で使わせていただいているのが日本加除出版の「日本行政区画便覧データファイル」という住所辞書の電子データ版です。
その弊社もお世話になっている日本加除出版さんが今回異例の本を出版されました。それが『地下アイドルの法律相談』です。

日本加除出版のWEBサイトの今日現在のトップページで紹介されている新刊本(本書を除く)をざっと並べてみますと、『令和2年度版 弁護士職務便覧』『土地家屋調査士白書2020』『法務局に預けて安心! 遺言書保管制度の利用の仕方』『判例に学ぶ婚姻を継続し難い重大な事由』『実践 離婚事案解決マニュアル』『実践調停 遺産分割事件 第2巻』等々、主に法律実務図書などを出版されている、まあお硬い本の出版社です。
法律相談と銘打っていますから路線は決して外していないのですが、同社の本書紹介ページの冒頭に「当社としては異色の書籍です!」と普段とは全く違うトーンの本であることを認めています。

どのくらい異色かというと、あのプロ書評家・プロインタビュアーの吉田豪さんが帯文を寄せています。タレント本収集家で本人以上に過去の発言を熟知してインタビューに臨むことで有名な、人間コク宝シリーズなど数々のインタビュー本を出版している(いわゆる)サブカル界で知らない人はいないあの吉田豪さんです。アイドルにも造詣が深く、地下アイドルの現場にも足繁く通い、多くの音源を発掘されているあの吉田豪さんです。出版に際してのアドバイスがまた素敵でして、地下アイドルに本当に手にしてもらうために価格を「なるべく安くする」ということで、上記で挙げた法務図書には5~6千円の本もザラの中、1,760円という価格に落として一般書店にも並ぶことになりました。
個人的にもまさか加除出版の本にあの吉田豪の帯が付いて書店に並ぶ時代が来るとは・・・という驚きの中、弊社としてもまた異色のブログを書いている次第です。

本書は労働問題などでご活躍の弁護士の深井剛志さんが過去に複数の地下アイドルの法的解決に関わった経験からQ&A方式で法的問題に答えています。深井さんは地方アイドルの自殺に寄せて自らの弁護経験を週刊誌に寄稿されたこともあり、本書執筆には最も適任な弁護士の一人と言えるのではないでしょうか。
タレントさんの相談となるとメンタルの問題も大きく、元地下アイドルで現在はライターの姫乃たまさんがそうした面に関するコラムを寄せ、西島大介さんのマンガで具体的事例が紹介されています。

本書のメインテーマはタレントと事務所の契約についてで、こうした契約書(場合によっては口約束)にはタレントさんを縛り付けるために法的効力が疑問な文言が盛り込まれていたりすることがあるそうす。本書を読もうと思うに至る前にタレントさんの多くが契約書に書かれているから、と諦めてしまっている可能性もあります。
しかし、そういうタレントさんにお知らせしたいのは、本書にも書いてありますが、我々の基本的人権を侵害してまで契約書が優先されることはありえない、ということです。つまり、自分の権利が明確に侵されているな、と思ったら「おかしい」と声を上げてよい、ということなのです。
日本国憲法第十三条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。一般的に幸福追求権と言われますが、分かりやすい例で言いますと、単に恋愛をしただけで事務所に違約金を払わなければならない、などということはありえない、ということです。
また、公序良俗違反と言いますが、反社会的な行為を強要するような契約は効力を持ちません。つまり、人として「おかしい」と感じたら、それは第三者に相談するに十分に値する、ということなのです。

このブログをきっかけに本書にたどり着くタレントさんというのはなかなかいらっしゃないかもしれませんが、これは他のフリーランスでお仕事をされているかたがた、ひいては会社と一般的な労働契約を結んでいるかたがたにも全く無関係ではない、という意味で本書は興味深く読めるはずです。

因みに日本加除出版ですが、本社所在地はあのトキワ荘があった場所で、最近できて話題のトキワ荘マンガミュージアムは同社から200メートルほど離れた場所(南長崎花咲公園内)にあります。跡地のモニュメントが建っていますのでそこは自由に観覧できますが、会社の敷地内ですので訪れる際はどうかお静かに。

『地下アイドルの法律相談』特設ページ

地下アイドルの法律相談(日本加除出版)

地下アイドルの法律相談(amazon)

写真:トキワ荘跡地モニュメント(筆者撮影)
tokiwasou