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市名が変わるということ(住所雑学シリーズ11)

こんにちは、K又です。住所雑学のブログは少々お久しぶりとなりました。
先月5月、元号が変わるとともに兵庫県の篠山市が丹波篠山市に市名を変更しました。
https://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/kikakukakari/public-relations/post-127.html
篠山市は、1999年4月に旧多紀郡篠山町・今田町・丹南町・西紀町が合併して成立しましたが、今回は周辺の市町村と更に合併した訳ではなく、単に市名を変更したものです。
なぜ今になって?という疑問は湧きます。その経緯について市長がインタビューに答えています。

改元と同時に「篠山市」は「丹波篠山市」に、地域ブランド確立へ 2019.04.24
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/433746/041500041/

合併した際には「丹波」など冠せずとも丹波篠山ブランドに自信があったものが、2004年に隣の氷上郡6町が合併した際に「丹波市」と名乗ったことによって状況が変わった訳です。

ところでこの「丹波」ってなんでしょうか。
「丹波」とは律令時代の地方行政区分である「丹波国(たんばのくに)」の範囲を一般的に指します。律令制が崩壊しても形式上守護領国として旧令国の概念は残り、その後漠然と地域を示す名称として使われてきました。
では「丹波」とは具体的に現在どこを指すのでしょうか。下の図をご覧ください。これが「丹波」の範囲です。
tanba
広いですね。兵庫県と京都府を股にかけています。京都側にも「丹」の字を使っている自治体がありますが、「京丹波町」は2005年に合併してできた町名、「南丹市」は2006年の合併の際に名付けられました。対抗措置を取ったとまでは言いませんが、2004年に「丹波市」が誕生したことが少なからず影響したと想像されます。

さて、今回(丹波篠山市)のような場合、総務省が定める市町村コード(全国地方公共団体コード)はどうなるのでしょうか。結論から言いますとコード変更はありません。篠山市の市町村コード(5桁)は「28221」でしたが、丹波篠山市になっても同じです。
市名変更の際に市町村コードを据え置いたケースは過去に2例ありまして、2005年に「新潟県新井市」から「妙高市」(市町村コード:15217)、2006年に「茨城県水海道市」から「常総市」(市町村コード:08221)、という例があります。
この2例はどちらも合併(編入)と併せての市名変更ですが、対等合併ではなかったためコードは据え置かれました。
しかしながら住所管理上こうした変更の仕方は少々混乱をきたしかねません。なぜならマスタ管理上「市町村コード=市町村名」というユニークが取れなくなるからです。コードに対して両方の自治体名を併存させる場合は廃止フラグなのでもう一つ判断材料を増やさなければなりません。それをしない場合は旧自治体名は削除(もしくは上書き保存)するしかありません。しかしそれをすると個別処理をしないと旧名を併存させる管理はできなくなります。
私も(といいますか弊社も)住所情報を処理する際にはその認識を持った上でマスタを設定・管理しています。一見市名を変更するだけのように見えて、注意しなければならない重要な問題なのです。