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ぶらり四谷住居表示の旅~その3(住所雑学シリーズ9)

こんにちは、K又です。前回は四谷本塩町、四谷三栄町、四谷坂町の街区表示板と旧町名表示版をご覧いただきました。今回こそ住居表示、街区、住居番号などについて書きたいと思います。
まず住居表示から片付けましょう。「住居表示に関する法律」(昭和37年5月10日法律第119号)という法律がありまして、これが住居表示を行う法的根拠となっています。その目的は「合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め」る(第一条)ことで、住所を表示する際の基本指針を示しています。
同法によれば、市街地の住所の表示方法には「街区方式」と「道路方式」の2つがあります(第二条)。後者の「道路方式」は京都市の通り名(いつか触れたいと思います)がそれに当たりますが、それ以外の日本の市街地の住所は基本的に「街区方式」で表示されています。この「街区方式」で住所が表示されることを「住居表示」と言います。
では「街区方式」とは何でしょうか。先ほどの法律に続いて「街区方式による住居表示の実施基準」(昭和38年7月30日自治省告示第117号)というガイドラインが出されました。それによると街区とは「道路、河川、水路、鉄道」などで区切られた各ブロックを指し、「30戸程度」の規模が標準的と定められています。
そしてその各街区に振られる番号を「街区符号」と言います。このシリーズの最初の回でご紹介した住居表示案内板のマルで囲んだ番号がそれです。

この番号の振り方にはある程度の規則があります。その自治体(市区町村)の「中心となる場所を定め、その中心となる場所にもっとも近い街区を起点として、一定の基準により順序よくつけるものとすること」となっており、番号は一筆書きになるように進めて行きます。
住居表示案内板を見ると、四谷本塩町、四谷三栄町、四谷坂町のどれも起点となる①は右下、つまり南東の端から始まっています。中心地をどこに定めるかは各自治体の判断で、新宿区はWEBサイト等では特に起点の指針は示していませんが、ここから南東は区庁でも都庁でもありませんので、皇居界隈を中心点と見ているのでしょう。
番号の進め方ですが、「一定の基準」とあるだけで明確に示していませんが、右回り方向に蛇行していくのが一般的です。いびつな区割りをしていると例外的な回り方をすることもありえますが、蛇行することはほぼ間違いありません。
先ほど住居表示案内板の四谷三栄町の部分を拡大してその順番を追ってみるとこのようになっています。右回りに蛇行していますね。

たとえば、前回ご紹介した街区表示板の「四谷三栄町10」の場所に立っていたとします。街区符号の起点が南東で番号は右回りに進むと分かっていれば、地図もスマホも持っていなくても街区表示板を追いかけていけば目的の街区にたどり着ける、ということになります。
最後に住居番号ですが、各街区内で一定の間隔(フロンテージ)で街区符号の際と同じ起点方向から右回りに番号を振って行きます。フロンテージは標準的には10~15メートル間隔で概ね各戸ごとの番号になると考えてよいでしょう。目的の街区に着いたら再び右回りに歩いて行けば最終的には目的地に着くはず、というのが住居表示の考え方です。

たとえば目的地が上の写真の「○○町1-6」だった場合、現在立っている場所から街区表示板を探し、その番号から街区「1」すなわち起点の南東に向けて左回りで蛇行してながら向かい、「○○町1」の街区表示板を見つけたら、その街区内を右回りに各戸に付いている住居番号表示板を追っていくと上の写真の目的地にたどり着くことができます。これが住居表示化された市街地の特徴なのです。
ところでここまでは街区と住居番号を数字とハイフンで表現して来ましたが、街区符号には「号」を、住居番号には「番」を付けるのが正しい表現となります。したがって、上の写真の住所は正確には、
(東京都新宿区)○○町1番6号
と表示します。それの省略形として「1-6」となるのです。
因みに住居表示化されていない地域の地番の場合の「1-6」があるとすれば、それは「1番地(の)6」(1番地の中の枝番6)の省略形ということになり、必ずしも隣に2番地があると限りませんし、1番地の中で枝番が1からきれいに並んで6まであるとも限りませんので、大きく意味が違います。
少し理屈っぽい話が続きましたが、四谷界隈の散歩から住居表示に関わる説明をしてみました。大体のお話は済みましたが、次回もう少しだけ続けましょう。今回はここまで。